世の中の介護職員不足のこと

多くの介護事業所が職員不足に悩んでいますが、ありがたいことに、萩の里はこの約2年ほど、町外転出と病気での退職が3人だけで、募集していないのに、ちらほら応募があります。応募してくれるほとんどを採用しちゃったので、人件費が凄くて次の決算が怖いダメ経営者な僕です。

これは幸せな悩みです。ありがたい事で、働いてくれる職員の皆さんに心から感謝です。

なぜ萩の里が人手不足では無いのか考えますと、社長である僕がイケメンで賢くて背が高く、眉目秀麗、脚も長くてスマートで髪がフサフサだからだと僕はずっと主張しておりますが、職員からは鼻で笑われます。きっとみんな目が悪いか照れているか嫉妬しているかの何れかに違いありません。

しかし、この幸せな状態がずっと続くとは思っていません。高校時代にクラス一成績の悪かった流石の僕でもそんな訳無い事は分かっています。高齢者は増えるけど労働人口は減り、増々介護職員が足りなくなっていくのは確実と思えます。

その対策として、「介護報酬(事業者が国等からもらうお金)を上げろ〜」とか、「介護の魅力をもっと発信」とか、「生産性を向上せよ!」とかが叫ばれていると思いますが、個人的には、

✕介護報酬上げる

△介護の魅力発信

○生産性向上

と、ざっくり思っています。

「介護報酬を上げる」は、そうなればもちろんありがたいのですが、介護保険料とか利用者負担アップにつながる話しだし、現状維持してくれたら良いです。なにより、経営や人材の活用方法を間違っている酷い事業者をも助けて生き残らせるのが良くないと思います。そういう所は良い事業者に譲渡や吸収などされて消えていただくのが、本当の意味での福祉の向上になると思います。

「介護の魅力発信」は、これはこれで大切です。僕もFMはなさんの協力を得て、できる限り発信しているつもりです。が、介護職が魅力的だと思ってくれる人はほとんどいないのが現実です。僕は介護の仕事が天職だと思っていますし良い仕事と感じていますが、そんな人間は奇特な人であり変わり者かもしれません。「介護職は世の中の人にとって魅力的ではないのだから、他に何かインセンティブを付ける」が最も必要と思えます。

「生産性向上」とは、少ない人数でより多くの業務をこなし、成果を出す事らしいですが、介護業界にはこれに噛みつく人が多い印象があります。例えば、介護施設の人員基準は概ね利用者さん3人に対し介護職員1人の3:1ですが、これをICTとかDX化して4:1にしようという動きがあります。それに対して「改悪だ!!」「むしろ2:1にしろ!!」といった主張する方も多いです。まあ、確かに改悪だとは思いますよ。気持ちは分かります。でも、無理な事を声高に主張しても無意味じゃないですか。労働人口は減るんですから。

ただ、このように主張される方々にも一理あると思うのは、介護分野に限りICTって現状はまだそんなに便利じゃ無いって事です。まだまだ時間短縮にはそれほどなっていませんよ。でもこれから育てていく分野だと思うんです。

以上を踏まえ、僕が思う介護職員不足の最も有効な対策は、規制を緩和する事です。規制が介護人材や事業者を苦しめているんです。

例えば、今後、認知症基礎研修等を受講しなければ、介護施設で働けなくなります。認知症などへの対応を底上げするのが狙いですが、研修で人が変わる事に期待し過ぎです。研修自体を否定するつもりはありませんが、受講を義務付けるのはやり過ぎですよ。賭けても良いですが、この研修を受講したからと言って介護施設での虐待や不適切対応は減りません。絶対をつけても良いです。

他にも、居宅介護支援事業所に主任ケアマネ必置にしたけど意味なくない?とか、介護福祉士になって5年も経験しないとケアマネ受験できなくしたり、LIFEが絶望的なほど使いにくかったり、処遇改善加算が3本建てで複雑過ぎて、計画と実績報告に大卒並みの学力が必要なんじゃないかと思えたり、諸々意味の分からない規制をして人手不足に必死に対応している事業者の首に、後ろからチョークスリーパーをかけるような事はやめていただきたいのです。

僕の主張が届く事が無いのは分かってはいますが、あまり規制しない事が人手不足の緩和に一番有効だと思うんです。